必要は発明の母

Mコーチが苦しい時は水に浸かっていると楽ですよと教えてくれた。それでプールに行き始めた頃を思い出した。「必要は発明の母」というが「必要は発見の母」ともいうのではないかと思う。

 

プールに行き始めたころ、ある日のレッスンでTけいコーチに

「25メートル三回」

と言われてOさんと顔を見合わせた。そのクラスは5人いたがその日はOさんと二人だけだった。二人ともそんなに泳げないだろうと無言で伝えあった。25メートル泳ぐのがやっとだったのだ。

二人とも25メートルプールの反対側に行くだけで息も絶え絶えだった。25メートルを三回は出来ないだろう。25メートル一回目で二人ともへとへとになった。頭を縁にのせて肩までプールに身を沈めて休んでいるOさんが

「こうしていると楽よ」

プールに身を沈めてていると楽だと言うのだ。

Oさんが誰に教わるのでもなく、息が上がった時プールに身を沈めてていると楽だと気付いたのは、発明ではなく発見である。Oさんは必要に迫られて気が付いたのだ。