嵐の贈り物

嵐の前は酷暑だった。嵐が来て幾分暑さが収まった。嵐の直後はまた暑くなったが嵐の前ほどではない。TVの天気情報でももう酷暑の日はないと言う。あの酷暑に耐えなくても良いという思うとホッとする。

 

プールにいるとN山さんが近づいて来た。さっきまで一緒に泳いでいたがもうTシャツに着替えている。シャワーを浴びたのだろう髪は濡れたままであるがスッキリした顔である。小さな声で

「荷物の脇に紙袋を置いときましたから持って行って下さい」

と言う。時々物を呉れる人なので何か貰えるのかと言う顔をした。

「嵐で茄子がたくさん落ちちゃったので持って行って下さい」

「ありがとうございます」

とお礼を言った。

 

茄子は大好物である。

 

二階の棚のタオルなどを置いたそばに小さい紙袋がある。中を覗き込んだらビニール袋にたくさんの茄子が入っていた。別のビニール袋には小さいかぼちゃが入っていた。かぼちゃも自分の畑で取れたのだろうか。紙袋を持ち上げてみるとずっしりと重い。カボチャも大好きである。

 

前には嵐で落ちる前にとキイウィを沢山もらったことがある。他の人にも上げていた。

 

嵐から夏の終わりの始まりと茄子とカボチャを貰った。