湿った畳

廊下に水をこぼした跡がある。母の寝起きしている部屋のふすまの前は水が溜まっている。だんだん薄くなりトイレまで続いている。母のベット脇には衣類がまるめておいてある。その周りの畳は水がしみている。水のシミは大きいのが二つ小さいシミが点々とふすまである。ベット脇に丸まっているブラウスにも水はかっているようだ。

濡れたところを紙で拭いてから絞った布雑巾で拭く。

裸足で畳みを歩くと濡れていない箇所も湿っているように足の裏がべとべとする。梅雨が始まったのでジメジメと畳みが湿気っているのかもしれないが母が粗相をした後が見た目にはわからなく乾いているが乾ききっていないのかとも思う。またぬれると困るのでベット脇からトイレまで新聞紙を敷いておいた。

リハビリパンツをはいてさえいれば床に水のこぼれた後はできないがリハビリパンツを脱いでしまいズボン下とズボンだけになるまたは腰パンのまま自分の居住する部屋とトイレを往復する。ズボン下もズボンもビショビショになった時はどちらも脱いでしまい上半身だけ服を着て下は何もつけずにトイレと居室を移動する。ジャケットを着て下半身裸でトイレから戻る姿をも見たときは驚いた。

白い紙パンツを必ず履くように言うが履いていないことがある。朝トイレに行った後は履いていないことが多い。

おぼつかない足取りではあるが廊下の壁などにつかまりながら家の中を歩く。家の外に石油を補充に行き風呂を沸かす。3時半過ぎ4時頃1人でいると止めてほしいと何度も言っているが風呂を沸かすのだ。ぬるいと追い炊きをしてスイッチを消し忘れる。夜7時過ぎに帰ってドアを開けたら白い煙がもうもうと立ち込めていた。風呂水が煮えたぎって湯気が玄関まで来ていたことが何度もあった。

数々の失敗はあるが夕方5時前には風呂にはいるとかの日々の生活のリズムは変わらない。

8月で96歳である。