読書日記 1
『アメリカ南部に生きる―ある黒人農民の世界』
セオドア・ローゼンガーデン著
上杉忍、上杉健志訳
彩流社
2006年発行
アラバマ州に生まれそこで一生を終えた黒人ネイト・ショウ(本名ネッド・コップ)の
全人生の聞き書きである。
ショウは、アメリカ南部で人種隔離政策が確立されつつあった時代1885年に生まれ、
公民権運動によってその体制が崩壊した時代1973年に亡くなった。
久しぶりでおもしろい本を読んだ。
語り口に引き込まれてしまう。
新しい農地の掘り起こしを「普通のやりかたはこうだ」と話はじめる、
その語り口が魅力的で、土地の掘り起こし方を熱心に聞いてしまう。
読んでいるというより聞いている感じ。
ネッド・コップが話をしているのを録画しなかったのだろうか。
録画していないとすればもったいなことをした。
原著のタイトルは、All God's Dangersだそうだ。
本文を読み終わってみるとAll God's Dangersの意味が分からなくもない。
「訳者あとがき」に翻訳の苦労が書いてあった。
大変な苦労をして翻訳をなさった様だが、
読む方としては語り口に引き付けられて短期間で読んでしまった。